遺伝子検査でわかるのは、薄毛になるリスクの高さです


薄毛に関して悩みを抱えている人は多く、その中には遺伝が原因となっているケースも多いようです。最近では遺伝子研究が進み、さまざまな病気のリスクなどが事前にわかるようになってきています。

そのうちのひとつが、薄毛になる可能性の高さを調べることができる「AGAリスク遺伝子検査」です。AGAとは男性型脱毛症といい、頭頂部や生え際の髪の毛が少なくなる状態をさします。

AGAは遺伝的要素が高く、男性ホルモンの影響を大きく受けるため、生まれつき薄毛になりやすいリスクが高い人が存在しているということです。

検査を行うことで薄毛になりやすい遺伝子を持っているかどうかがわかれば、事前に予防や対策をする、AGAに焦点をしぼった治療を行う等ができるようになります。

しかし薄毛の原因は遺伝だけでなく、疾患などが原因になっている場合も考えられます。疾患は後天的なものが多いため、この遺伝子検査では見つけることができません。

そのため遺伝子検査をしたからといって、この薄毛の原因がわかるわけではないのです。

薄毛の進行が気になる場合は、遺伝子検査も含め専門医のもとで、検査・治療をしていくのがよいでしょう。

薄毛の原因のひとつに「AGA」があります

頭頂部や前頭部から髪の毛が減り出し、薄毛になってしまう不安を抱えている人は少なくありません。

とくに男性はかなりの確率で、薄毛の心配をしている人がいるのではないでしょうか。そんな薄毛の原因のひとつとして最近よく名前を見かけるようになったのがAGAです。

AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では「男性型脱毛症」といわれています。その名の通り、男性ホルモンが原因となっている抜け毛です。

女性でも発症することがあり、その場合はFAGA(Female Androgenetic Alopecia)、「女性男性型脱毛症」と呼ばれるようになります。

AGAは、男性ホルモンが分泌されているからといって、全員が発症するわけではありません。男性ホルモンだけでなく、遺伝子・生活上のストレスなどさまざまな要因が重なり合って起こる症状です。

なおGAの場合、一気に抜け落ちるというよりは、時間をかけてゆっくりと、しかし確実に進行していきます。そのため放置しておくと症状がどんどん進んでしまうので、早期発見と早期治療がとても大切になってきます。

AGAは男性ホルモン「テストステロン」が原因になっています


AGAによる薄毛や脱毛の主な原因は、男性ホルモン「テストステロン」です。

「テストステロン」は、還元酵素「5αリダクターゼ」の影響を受けて、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別のホルモンに変化します。

本来DHTは、成長期には筋肉や骨をつくり男性らしい体を育ててくれたり、精神的にも「好奇心・リーダーシップ」といった積極的な内面をつくり出してくれたりするホルモンです。そのため成長していくために、とても重要なホルモンになっています。

しかしこのDHTが毛乳頭細胞にある受容体に結合してしまうと、薄毛を引き起こす原因となってしまうのです。正常なヘアサイクルの場合、1回に2~6年間ほどかけて髪を育てていくものです。

しかし毛乳頭細胞にある受容体「アンドロゲンレセプター」とDHTが結合すると、髪の成長が抑制されてしまうようになります。

その結果としてヘアサイクルの成長期が短くなり、髪の毛がしっかりと育たないうちに抜け落ちてしまうようになるのです。

ヘアサイクルが乱れてしまうため、細くて短い髪の毛が増えて、髪が薄く見えるようになってしまいます。

AGAは遺伝の影響が大きいといわれています

「両親や祖父母が薄毛だと、子供や孫も薄毛になりやすい」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。それは、あながち間違いではないかもしれません。

人間には男女ともに持っている「常染色体」と、男性は「XY」、女性は「XX」という性別をつかさどる「性染色体」が存在しています。

これらの遺伝子を両親から半分ずつ受け継ぐことで、人はつくられているのです。そのため男性は必ずX染色体を母親から受け継ぐことになります。

実は、近年の研究でAGAになりやすい人は、薄毛の原因となる毛乳頭細胞の受容体「アンドロゲンレセプター」の感受性が高いという特徴がわかっています。

「アンドロゲンレセプター」に関する遺伝子情報は、X染色体上に存在しているため、母方に薄毛の遺伝子を持った人がいる場合は自分も薄毛になりやすいという結果になるのです。

ちなみに女性の場合は、男性ホルモンよりも女性ホルモンの影響を多く受けるためAGAのリスクはあっても発症しにくいといわれています。

そのため母親はとくに問題がなくとも、母方の祖父が薄毛だとAGAを発症する可能性が高いということです。ただしAGAに影響を与える遺伝子は他にもあるとされているので、必ずしも断定できるものではありません。

AGAの発症リスクを高める要因は、他にもあります


下記のようなことも、発症のリスクを高める原因となっています。心当たりがある場合は、治療と並行して生活を見直していくことも大切です。

過度のストレス

ストレスは自律神経に影響を及ぼすため、ホルモンバランスが崩れやすくなりがちです。また過度のストレスは血管の収縮をもたらします。

健康な髪が育つためには十分な栄養と酸素が必要ですが、それらを運ぶ血流が悪いと、頭皮まで必要な栄養が届かなくなり髪が育ちにくくなってしまうのです。

生活習慣の乱れ

偏った食生活や睡眠不足もよくありません。良質な睡眠やバランスのとれた食事は、健康なヘアサイクルを保つために重要です。

とくにゴールデンタイムといわれる10時~翌2時までの間にしっかりと眠ることで、成長ホルモンの分泌が盛んになって健康な体をつくることができるようになります。

またファストフードや揚げ物、甘味などの糖質・脂質の多い食事ばかりを摂取していると、健康な髪を育てるために必要な栄養素が不足してしまいます。

栄養が偏った食事も、抜け毛の原因となるので注意が必要です。

喫煙

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させるため血行不良を招きます。また体内に活性酵素を多く発生させてしまうため、体の老化を早める原因にもなるのです。

髪が成長するにあたって悪い影響が多いので、薄毛が気になっているなら喫煙はまったくおすすめできません。

FAGAの場合は、全体的に髪が薄くなります

AGAの場合、前頭部や頭頂部の毛が薄くなる症状が現れます。しかしFAGAの場合は、男性の脱毛パターンとは異なり、どちらかというと全体的に薄くなる傾向があります。

そのため薄毛がはっきりとは目立たないものの、「分け目が気になる」「地肌が見えて気になる」「ボリュームがなくなり、ヘアスタイルが決まらない」といった悩みを抱えることになりがちです。

またAGAは20代から発症するリスクがあるのに対して、FAGAは40代以降から症状が出始めることが多いといわれています。それは女性には、女性ホルモンが大きな影響を及ぼしているからです。

女性には、ハリやコシなど髪を美しく維持する「エストロゲン」と、髪の成長期を維持し太さや長さに影響を及ぼす「プロゲステロン」、2種の女性ホルモンが体内に存在しています。

どちらのホルモンも髪を健康的に維持する作用をしてくれるため、女性の場合は薄毛になりにくいといわれているのです。

しかし30代を境に、女性ホルモンの分泌量が減っていき、男性ホルモンの影響を受けやすくなってしまうため、女性は40代辺りから薄毛の悩みを抱えやすくなってしまいます。

女性ホルモンの減少は、加齢に伴う自然な減少です。しかし女性ホルモンの減少度合いをゆるやかにしていくことは可能なので、兆候が現れたら心身のケアをしていくとよいでしょう。

薄毛の原因は、必ずしも遺伝とは限りません

薄毛の原因のひとつとして遺伝性が高いAGAの話をしてきましたが、必ずしもすべての薄毛がAGAとは限りません。

脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患や、引っ張りすぎていることが原因で抜けてしまう「牽引性(けんいんせい)脱毛症」などが薄毛の理由になっている場合も考えられます。これらが原因の場合は遺伝子検査をしても結果に表れることはありません。

そのため遺伝子検査をしたからといって、必ずしもそれだけで薄毛の原因がわかるわけではないということです。

最近では、自宅でできる簡易的な遺伝子検査キットも販売されています。しかしもし遺伝子検査でAGAリスクが高いということがわかったとしても、薄毛の進行を止めることには結びつきません。

薄毛や脱毛の症状が気になる場合は、できるだけ早く皮膚科や薄毛治療を専門にしている病院で診察を受け、治療または対策をしていくことが大切です。

(まとめ)薄毛の原因は、遺伝子検査でわかるのでしょうか?

1. 遺伝子検査でわかるのは、薄毛になるリスクの高さです

薄毛で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。遺伝子検査を行うことで、薄毛になりやすいリスクの高さを調べることができます。

しかし検査だけで原因は判明しないため、専門医と相談をしながら治療していくことが大切です。

2. 薄毛の原因のひとつに「AGA」があります

薄毛の原因のひとつに「AGA(男性型脱毛症)」があり、女性の場合は「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼ばれています。

男性でも女性でも、男性ホルモンを持っているからといって発症するわけではなく、いくつかの要因が重なり合って起こる症状です。

3. AGAは男性ホルモン「テストステロン」が原因になっています

AGAは男性ホルモン「テストステロン」が主な原因になって引き起こされます。

テストステロンが還元酵素の作用でDHTに変化し、毛乳頭細胞にある受容体がDHTと結合すると、発毛サイクルが短くなり、発毛した髪が育つ前に抜け落ちるようになってしまうのです。

4. AGAは遺伝の影響が大きいといわれています

AGAの人には、毛乳頭細胞にある受容体の感受性が高く、DHTと結合しやすい傾向を持つ遺伝子が存在しています。

その遺伝子情報はX染色体に含まれるため、母方に薄毛遺伝子が存在していると、その体質を受け継ぐようです。

5. AGAの発症リスクを高める要因は、他にもあります

AGAの発症リスクを高める要因は、遺伝子だけでなく他にも存在しています。過度のストレス・生活習慣の乱れ・喫煙なども大きな影響を及ぼします。

症状がある場合は、治療と並行して生活を見直してみましょう。

6. FAGAの場合は、全体的に髪が薄くなります

AGAが頭頂部や前頭部に現れるのに対し、FAGAは全体的に薄くなる傾向があります。

また髪は女性ホルモンの影響を強く受けるため、40代以降に症状が現れることが多いです。女性ホルモンの分泌量が急激に低下しないように気をつけることで、発症リスクを軽減できます。

7. 薄毛の原因は、必ずしも遺伝とは限りません

薄毛の原因は、必ずしもAGAとは限りません。もし遺伝子検査でリスクが高いことがわかったとしても、解決するわけでもありません。

気になる症状が現れ出したら、薄毛治療を専門的に行っている病院で診察を受けるとよいでしょう。

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