鉄分や亜鉛の不足からくる貧血が抜け毛の原因になっています


女性の抜け毛といえば、主に老化やホルモンバランスの乱れが原因で起こる更年期以降の悩みでした。

ところが最近、20代前後の若い女性が抜け毛に悩む事例が増えています。その原因のひとつとされるのがミネラル不足からくる「貧血」。

健康な髪を育てるためには、毛母細胞を活性化させ、丈夫な毛根を作る役割をもった鉄分や亜鉛などのミネラル成分が不可欠です。

鉄分には血液中のヘモグロビンを作り、血流を介して髪の形成をサポートする機能があります。また亜鉛は髪の材料となるケラチンの生成など、髪の毛の成長に欠かせない成分です。

しかしこの頃、こうした栄養素が不足して貧血症状を起こす女性が増えているのです。この現代日本で栄養不足?と思われるかもしれません。

ですが外食やコンビニ食の多い現代の食生活では、栄養素をバランスよく摂取することが難しくなっています。

加えて10代後半から20代の女性は、野菜ばかり食べるようなムリなダイエットをしてしまいがちです。そのために鉄分や亜鉛が不足し、貧血になってしまうのです。

抜け毛の量が急に増えたとき、その髪が痩せてハリ・コシ・ツヤのない状態なら栄養不足が原因かもしれません。

体内で作ることができないミネラルは、食べ物などで体外から摂取するしかありません。日常の食事内容を見直し、足りない分はサプリメントを活用するなどして栄養を補いましょう。

貧血は髪の毛から酸素を奪います

鉄分が不足すると貧血になってしまうことは知られていますが、それが抜け毛の原因につながることはご存知ない方が多いのではないでしょうか。

その理由は鉄分のもつ「酸素を運ぶ」働きにあります。

食べ物から体内に取り入れられた鉄分は十二指腸で吸収され、骨髄へ運ばれて、赤血球の中のヘモグロビンを作るために使われます。

このヘモグロビンが肺の中で酸素と結合することで、酸素が血液中に取り入れられ、全身の細胞に運ばれるのです。

しかし体内の鉄分が不足すると、赤血球1個当たりに含まれるヘモグロビンの量が減少し、血液は十分な酸素を運ぶことができなくなります。

こうして起きるのが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる状態です。

貧血になるとめまいや頭痛などの症状が起こるのは、鉄分が欠乏したせいで体の中が「酸欠状態」になったために起きているのです。体が貧血になっているということは、当然、頭皮も貧血状態になっています。

血流にのって運ばれてくるはずの酸素が減ることによって、髪の毛は細くなっていき、すぐ抜け落ちてしまうようになります。

さらに酸素が少ないために毛母細胞の分裂が抑制され、毛根の働きが弱くなって新しい髪が生えにくくなってしまいます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、成人女性が1日に必要な鉄分量は10.7 mgとされています。

しかし女性は月に1度生理があり、妊娠中や授乳期にも赤ちゃんを育てるために鉄分が使われてしまうため、男性よりも鉄欠乏性貧血になりやすい傾向にあります。

鉄分を摂れば貧血解消! とはいきません


鉄分の不足が抜け毛につながるのは、貧血が毛根の酸素不足をもたらしてしまうためです。

しかし鉄分さえ十分に摂取すれば問題は解決、というわけではありません。銅や亜鉛・ビタミンB12・葉酸といった栄養素がひとつでも不足すると、鉄分を摂取していても貧血の原因となってしまうのです。

中でも重要なのが亜鉛です。亜鉛不足が貧血の原因となっていることはあまり知られていませんが、米国で行われた学術調査によると、貧血の女性のうち約半数が、亜鉛不足によるものだったと判明しています。

亜鉛には、「タンパク質の生成を助ける」という働きがあります。ヘモグロビンはタンパク質の一種なので、亜鉛が足りないと、ヘモグロビンそのものの生成がうまくいかなくなるのです。

その結果、赤血球の外殻(赤血球膜)をうまく作ることができなくなり、脆くなった赤血球は毛細血管を通過するときに壊れやすくなります。壊れてしまった赤血球は酸素を運ぶことができず、体は酸欠状態になってしまいます。

こうして起こる貧血を「亜鉛欠乏性貧血」といい、たとえ鉄分を十分に摂取していても貧血は改善されません。

亜鉛は、肉・魚に豊富に含まれているため、野菜中心のダイエットなどを長期間続けていると、亜鉛不足からくる貧血で抜け毛が増えてしまうのです。

亜鉛欠乏症は脱毛につながります

日本臨床栄養学会が策定している「亜鉛欠乏症の診療ガイドライン」には、亜鉛が不足すると抜け毛の症状が起こると記載されています。それほど亜鉛は毛髪にとって重要な成分なのです。

上記の「亜鉛欠乏性貧血」による抜け毛だけでなく、亜鉛の不足は髪の毛に深刻な影響を及ぼします。

髪の毛の生成が阻害される

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質の一種です。

私たちの口から摂取されたタンパク質はそのまま髪になるわけではなく、一度分解され、亜鉛の力を借りてケラチンに変換されるのです。

タンパク質の合成をサポートする亜鉛が不足していると、いくらタンパク質を食べても髪が作られにくくなるのです。

頭皮に炎症が起きやすくなり、抜け毛につながる

また亜鉛は皮膚に潤いを与えるコラーゲンの生成など、皮膚の新陳代謝にも関与しています。そのため不足すると皮膚が乾燥し、皮膚炎の原因になってしまいます。

頭皮の炎症は毛母細胞にダメージを与え、結果的に抜け毛につながってしまうのです。

厚生労働省によれば、1日における亜鉛の推奨摂取量は、成人男性で10 mg・女性で8 mgとされています。しかし亜鉛は体に蓄えることができない栄養素なので、成人以上の日本人は総じて亜鉛不足気味にあります。

効率よい摂取で抜け毛の改善をはかりましょう


鉄分は、体内に摂取したうちの8~10%くらいしか吸収されません。亜鉛の吸収率も、約30%といわれています。

そこでこれらのミネラル類をできるだけ多く含む食材を選ぶことが重要になります。

鉄分を多く含む食品

・豚レバー

・卵

・ホウレンソウ

・プルーン・イチジク

・ココア

・海藻(ヒジキやワカメ・海苔など)

・ナッツ類(ピスタチオやヘーゼルナッツなど)

・貝類(アサリやシジミなど)

・大豆加工食品(納豆や油揚げなど)

亜鉛を多く含む食品

・魚介類(牡蠣・ほたて・シジミ・うなぎなど)

・肉類(豚レバー・牛の赤身肉など)

・大豆加工食品(納豆・高野豆腐など)

・乳製品(パルメザンチーズ・プロセスチーズなど)

・するめ

・カニ缶

・卵類

・松の実、カボチャの種、ゴマなど

吸収を助ける工夫で効率アップ

鉄や亜鉛には、一緒に摂取することで吸収を助ける栄養素があります。鉄分は、体内に吸収されにくい栄養素ですが、ビタミンCを一緒に摂ることによってぐんと吸収率が高まります。

亜鉛も、動物性タンパク質・クエン酸・ビタミンCなどを一緒に摂取することで吸収を促進することができます。

牡蠣はとくに豊富に亜鉛を含む食材ですから、ビタミンCを多く含むレモン汁を牡蠣フライにかけるのは、亜鉛を効率よく摂るのに適した組み合わせです。

ビタミンCは、ブロッコリー・ピーマン・ジャガイモ・豆類・パセリなどにも多く含まれているので、副菜として使うと効果的でしょう。

また亜鉛は水溶性なので、汁ごと食べられる鍋やスープにするのもおすすめです。こうした食べあわせも意識して吸収率を高め、1日に必要な摂取量をクリアしましょう。

栄養補給をサプリメントに頼りすぎるのは危険です

こうしたミネラル成分は吸収されにくいだけでなく、加齢によって吸収率が減少することも指摘されています。

亜鉛の吸収率は20代で35%ですが、60~70代になると17%にまで減ってしまい、同量のミネラルを摂取しても頭皮環境が悪くなり、抜け毛が増えてしまうのです。

食事で摂るのが難しい場合はサプリメントで補うことも選択肢に入れましょう。ただしサプリメントの利用には注意が必要です。

飲み合わせに注意

ミネラル同士の間には拮抗作用をもつ組み合わせがあって、似通った性質のミネラル同士はお互いの吸収や働きを妨げる場合があります。

鉄分だけを多量に摂取した場合、亜鉛や銅の吸収が妨げられてしまいます。逆に多量の亜鉛を摂取すると、鉄分や銅の吸収が阻害され、貧血になる場合があります。

亜鉛と鉄のサプリメントを利用する場合は、時間をずらして服用した方がよいでしょう。

過剰摂取に注意

18歳以上の女性が1日に摂取する上限量は鉄分が40 ㎎、亜鉛は35 mgと設定されています。

鉄分が過剰になると分解できずに体内に溜まってしまい、吐き気・便秘・下痢などの胃腸障害、場合によっては肝硬変などのリスクが高まる可能性もあります。

また亜鉛を必要以上に摂りすぎると、胃腸障害・めまい・吐き気などの症状があらわれる場合があります。

ただしこれはサプリメントでひとつのミネラルを過剰に摂った場合の話です。食物として食事で摂取した場合には過剰摂取の心配はありません。

サプリメントは便利ですが、栄養が偏らないよう、あくまで食事で足りない分を補う補助食品として利用し、できるだけ食べ物からバランスよく摂取するようにしましょう。

(まとめ)女性の抜け毛には鉄分と亜鉛が関係している?

1. 鉄分や亜鉛の不足からくる貧血が抜け毛の原因になっています

最近、若い女性に増えている抜け毛。原因のひとつといわれるのが鉄分や亜鉛といった必須ミネラルの不足です。

鉄分不足は毛母細胞に運ばれる酸素の量を減少させ、亜鉛が不足すると髪の毛の成長が妨げられ、抜け毛につながります。

2. 貧血は髪の毛から酸素を奪います

鉄分には赤血球の中のヘモグロビンを作り、酸素を運ぶ働きがあります。

不足すると「鉄欠乏性貧血」になり、頭皮に十分な酸素が届かず、髪が弱って抜けやすくなるだけでなく、毛母細胞の分裂が抑制されて新しい髪が生えにくくなってしまいます。

3. 鉄分を摂れば貧血解消! とはいきません

たとえ鉄分を十分に摂取していても、貧血が改善されないケースもあります。亜鉛にはタンパク質の生成を助ける働きがあり、これが足りないとヘモグロビンの生成がうまくいかず、赤血球が壊れやすくなります。

その結果起こる貧血を「亜鉛欠乏性貧血」といいます。

4. 亜鉛欠乏症は脱毛につながります

亜鉛は、不足すると抜け毛の症状が起こるといわれる、毛髪にとって重要な成分です。

・髪の毛の主成分である「ケラチン」の生成をサポート

・皮膚に潤いを与えるコラーゲンの生成をサポート

こうした働きをもつ亜鉛が不足すると、抜け毛が増えてしまうのです。

5. 効率よい摂取で抜け毛の改善をはかりましょう

鉄分を多く含む食品は、豚レバー・卵・ホウレンソウ・プルーン・ココア・海藻・ナッツ類など。

亜鉛が豊富な食材は、牡蠣・牛の赤身肉などの肉類・大豆加工食品・乳製品・カニ缶・ゴマ・松の実など。

吸収率をアップさせるビタミンCを一緒に摂取すると効果的です。

6. 栄養補給をサプリメントに頼りすぎるのは危険です

鉄と亜鉛には、鉄を多く摂ると亜鉛の吸収が阻害され、亜鉛を多く摂ると鉄の吸収が阻害されるという拮抗作用があるため注意が必要です。

またどちらも過剰に摂取すると、胃腸障害などの副作用の可能性があります。サプリはあくまで食事で足りない分を補うものとして利用しましょう。

抜け毛の原因をより詳しく見てみよう

30代女性の抜け毛の原因は何ですか?

女性は30代後半になると、エストロゲンの分泌量が減少し、それを原因として抜け毛や薄毛などの髪の毛の変化が起こります。顔のしわやたるみが気になる、いわゆるお肌の曲がり角と似たような現象は、髪の毛にも存在するのです。髪の毛にも老化があり、これはお肌同様に女性ホルモンの分泌量に関係します。

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