黒ゴマは頭皮脂を潤ったよい育毛環境に整えると考えられます


黒ゴマ(黒胡麻)は中医学では、若白髪に適応力がある、といわれています。

日本で主に食べられているゴマは、栽培種の白ゴマと黒ゴマです。
生薬には、白ゴマであったり野生種の黒ゴマであったりは使われず、栽培種の黒ゴマが用いられます。

ゴマはアフリカ原産とされていますが、世界中に渡り奈良時代には日本に存在していたほか、縄文時代の貝塚からも出土している、日本人の体に合った健康食品です。

中医学では、若白髪のためには黒ゴマと何首烏(かしゅう、ツルドクダミの塊根:健胃・強壮剤とする)の同量を一緒にすりつぶし、毎日、毎食後6gずつ食べるのがよいとされています。

何首烏(かしゅう、ツルドクダミ)は、享保5年(1720年)長崎に薬草として中国から輸入され帰化した植物で、開宝本草には白何首烏と赤何首烏があり、日局カシュウはツルドクダミ、赤何首烏だということです。

外用剤としても養毛剤に使われるそうですが、漢方の飲み薬「当帰飲子(とうきいんし)」は、構成生薬が何首烏・地黄・荊芥・蒺藜子の組み合わせであり、虚弱体質や老化で元気が衰えた人に対して用いられ、乾いた肌のかゆみを改善し、激しくなった白髪や抜け毛を改善するといわれます。

「当帰飲子(とうきいんし)」は、血行をよくして内側から肌に栄養や水分を補い、乾燥した肌のかゆみや湿疹・皮膚炎を効果的に抑える、すぐれたはたらきをもつといい、市販されています。

さて、黒ゴマの有効成分ですが、リノール酸、オレイン酸、ゴマリグナン(セサミン、セサミノール、セサモリン)、タンパク質、カルシウムなどといわれ、肝と腎のはたらきを高め、血を養い、腸を潤すことが中医学的な効能としていわれているのです。

この黒ゴマのはたらきが肥料のように、頭皮や頭皮脂膜を、潤ったよい育毛環境に整えるものと考えられます。

黒ゴマは外側の皮が固いため、上記のようにすり鉢などですって食べると、胃に優しく、栄養が吸収されやすいといいます。

生薬としての黒ゴマは、肝腎虚によいといわれます

黒ゴマの生薬名は、胡麻仁、黒脂麻、黒芝麻、巨勝、油麻といいます。
黒ゴマの中医学的な効能は、補益肝腎(肝と腎のはたらきと高める)、養血益精(精力をつけ、血を養う)、潤腸(腸を潤し、便通をよくする)といわれます。

黒ゴマに期待できる適応症には以下のものがあるといわれています:

  1. 肝腎虚によるめまい・耳鳴り、腰のだるさ・膝のだるさ、目のかすみ、若白髪・脱毛、便秘、皮膚の乾燥
  2. 病後・虚弱体質・産後の人や、高齢者などの腸内津液(しんえき、中医学で「血」以外の正常な体内分泌液―さらっとしたものと粘度のあるもの両方―の総称)不足による便秘
  3. 産後の母乳不足
  4. 湿疹、皮膚の腫れ物・できもの
  5. 慢性気管支炎、やけど、痔

ただし、下痢傾向の人には適さないそうです。

抜け毛や白髪は、中医学では腎精と血(けつ)の不足


抜け毛や白髪、髪の毛の乾燥などは、中医学では、腎精(じんせい)と血(けつ)の不足が原因といわれています。
逆のよい状態は、色つやがあり、豊かで健康的な髪の毛は、腎精と血が充足していることの表れといいます。

血(けつ)とは、一応、血液と考えておいてよいでしょう(血=津液と営気が結合して生まれたもので、各臓腑が調整しているもの。腎精が血に変化することもある)。

腎精(じんせい)とは、両親から受け継いだ先天の精に対して、摂取した食物由来の栄養物質からつくられる後天の精が与えられ、補われながらつくられているものです。

腎精のはたらきは、腎陽と腎陰に分けられ、各臓腑や組織などを、腎陽は温め、腎陰は滋養し潤し、冷却することもあります。

腎精は、体や身体機能の成長に加え、生殖機能とも関係しており、現代医学で性ホルモン(エストロゲンやアンドロゲン(レセプター)など)について研究が進んでいる内容と符合するところが多くあるのです。

未解明:腸内細菌がはたらき機能し始めるゴマリグナン配糖体

AGA(男性型脱毛症)は、テストステロン(アンドロゲンのひとつ)に「還元酵素5αリダクターゼ」と補酵素NADPHが作用して、抜け毛を促進する強力な男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT、これもアンドロゲンのひとつ)」に変換されることで起こると考えられています。

ジヒドロテストステロン(DHT)は、毛乳頭細胞に存在するアンドロゲンレセプターと結びつき、TGF-βといわれるサイトカインを生み出すのです。

サイトカインとは、細胞のはたらきを調節する役割をもつ、大変小さい分泌性タンパクの一種です。
サイトカインのひとつであるTGF-βは、細胞増殖抑制作用をもち、細胞の増殖や分化を制御して「細胞死」を促すことが知られています。

細胞死がなければがん化が進むので、TGF-βは大切な物質なのですが、頭皮で起こる頻度は必要最小限に抑えたいものです。

TGF-βは、そうして毛乳頭の毛母細胞の活動を低下させます。
「還元酵素5αリダクターゼ」の作用を妨げれば、「ジヒドロテストステロン(DHT)」はできません。

また、「TGF-β」がアンドロゲンレセプターに結合しなければ、細胞死への道を塞ぐことができます。

さて、頭皮を潤し、若白髪改善の助けになるといわれる黒ゴマですが、食品成分データベース(fooddb.mext.go.jp)によると、ゴマは、ごま油を半分以上含み、食物繊維を10%以上含むほか、ミネラルが豊富であり、葉酸を含み、ビタミンB、K、アミノ酸を多く含みます。

ゴマには多種類のゴマリグナン配糖体が存在しており、通常の消化ではなく、腸内細菌による代謝のメカニズムにより、生体内抗酸化作用を示しているということが分かってきているのです。

腸内細菌がもつβグルコシダーゼなどの酵素が配糖体を切り離し、機能を発現していくようです。

ゴマリグナンによって引き起こされる、特定の細胞内タンパク質変動の研究も進められており、ゴマが頭皮にどのように作用するのか、ゴマの機能性はまだこれから分かってくるところでしょう。

(まとめ)黒ゴマが頭皮脂によいというのは本当ですか?

1. 黒ゴマは頭皮脂を潤ったよい育毛環境に整えると考えられます

黒ゴマ(黒胡麻)は中医学では、若白髪に適応力がある、といわれています。
ゴマは、日本人の体に合った健康食品で、リノール酸、オレイン酸、ゴマリグナン、タンパク質、カルシウムなどを含みます。

黒ゴマは、中医学では血を養い、腸を潤すといわれ、髪の肥料のように、頭皮や頭皮脂膜をよい育毛環境に整えるものと考えられているのです。

2. 生薬としての黒ゴマは、肝腎虚によいといわれます

黒ゴマの中医学的な効能は、肝と腎のはたらきと高め、血を養い、腸を潤し、便通をよくすることといわれます。

下痢傾向の人には適さないそうですが、黒ゴマに期待できる適応症には:

  1. 肝腎虚によるめまい・耳鳴り、腰や膝のだるさ、目のかすみ、若白髪・脱毛、便秘、皮膚の乾燥
  2. 病後・虚弱体質・産後の人や高齢者などの便秘
  3. 産後の母乳不足
  4. 湿疹、皮膚の腫れ物・できもの
  5. 慢性気管支炎、やけど、痔
3. 抜け毛や白髪は、中医学では腎精と血(けつ)の不足

抜け毛や白髪、髪の毛の乾燥などは、中医学では、腎精(じんせい)と血(けつ)の不足が原因といわれています。

血(けつ)とは大まかに血液。
腎精(じんせい)とは、両親から受け継いだ先天の精に、食べた栄養からつくられる後天の精が加わってつくられるもの、体の成長・生殖機能とも関係している、現代医学の性ホルモンを想起させるものです。

4. 未解明:腸内細菌がはたらき機能し始めるゴマリグナン配糖体

AGAは、テストステロンが5αリダクターゼなどの作用により、抜け毛を促進するジヒドロテストステロンに変換されることから起こります。

ゴマは通常の消化ではなく腸内細菌による代謝によって、より多くのさまざまな機能が現れることが分かってきているところです。