頭皮脂は必要で、直接的な原因になることは少ないでしょう


テレビや雑誌で、頭皮脂を取り除くようなシャンプーやヘアケアグッズをよく見かけます。その影響から「頭皮脂を落とせば髪が元気になる」、逆に「頭皮脂があると薄毛になる」とイメージしてしまいます。

果はして、それは本当なのでしょうか。
頭皮脂があると細い髪になってしまうのでしょうか。

まず、頭皮脂は毛根にある皮脂腺から少しずつ分泌されています。
そして、頭皮脂が髪全体をおおうことで、髪にツヤを与え頭皮の乾燥を防いでいるのです。

つまり、適量の頭皮脂は必要であり、細い髪の直接的な原因となることは少ないといえます。
それにもかかわらず、「頭皮脂を取り除かなければいけない」というような間違った情報を信じ、必要以上にシャンプーをしている方がいます。

洗えば洗うほど、頭皮が乾燥してフケやかゆみが生じ悪循環に陥るのです。

当然、このような状況では頭皮はダメージを受け、結果的に細い髪や薄毛になってしまうのです。

大量のシャンプーを使用したり1日に何回もシャンプーしたりするのはやめましょう。
このような過剰なシャンプー以外にも、細い髪や薄毛をつくる要因は数多くあります。

具体的には、「ヘアサイクルの乱れ」「加齢」「ホルモンバランス」「薬の副作用」などです。

しかし、最近では薄毛を改善するような医学的な治療が進んでおり、さらに生活習慣を整えることで髪が元気になることがわかっています。
頭皮脂のことを気にするだけではなく、食事や運動を見直し太くて健康的な髪を育てましょう。

頭皮脂よりも洗いすぎによる頭皮ダメージに注意しましょう

頭皮脂を取り除くようなCMをよく見かけます。
見方によっては、それだけ頭皮脂を気にする方が多いということです。

しかし、頭皮脂を落としすぎるのは逆効果となります。
なぜなら、頭皮脂には、外からの刺激をブロックするバリア機能があるからです。

具体的には、「頭皮の乾燥予防」「刺激物の侵入を防ぐ」などの機能です。
これらの機能を活かすためにも、大量のシャンプーを使ったり1日に何回も洗ったりするのはやめましょう。

シャンプーをしすぎると、頭皮湿疹を起こすケースもあります。
また、ゴシゴシと力を入れて洗うと頭皮を傷つけ、細い髪や薄毛につながります。
日頃から頭皮にダメージを与えない優しいシャンプーを心掛けましょう。

頭皮湿疹とは
・かゆみ
・大量のフケ
・赤み
・湿疹

このような症状がある場合は、頭皮湿疹の可能性があります。
皮膚科を受診するようにしてください。

頭皮湿疹は主に3つのタイプがあります。

①接触皮膚炎
シャンプーやヘアカラーなどの刺激を持つ物質に触れると起こる皮膚炎です。
肌がカサカサしたり赤みが出たりするヘアケア剤は、すぐに使用を中止しましょう。

②脂漏性皮膚炎
過剰に分泌された皮脂によってカビが繁殖して起こる皮膚炎です。最近では専用のシャンプーがあります。

しかし、そもそもの原因が洗いすぎによる乾燥だとすると、シャンプー自体が刺激となる場合があります。自己判断せず、皮膚科へ行きましょう。

③皮脂欠乏性皮膚炎
洗浄力の強いシャンプーや、洗いすぎなどによって起こる皮膚炎です。
シャンプーが肌に合っていない可能性があるため、使用を中止しましょう。

また、お湯だけで洗う「湯シャン」に切り替えるのもよいでしょう。

細い髪や薄毛にはヘアサイクルの変化が関係しています


では、細い髪や薄毛の原因が頭皮脂ではないとすると、原因は何なのでしょうか。
その鍵を握るのが「ヘアサイクル」です。

ヘアサイクルとは、「成長期」「退行期」「休止期」という髪が伸びてから抜け落ちるまでの一定の周期をいいます。
通常のヘアサイクルであれば、成長期が一番長く、休止期に入れば髪が抜け落ち、再び新しい髪が生えてきます。
ところが、なんらかの影響でヘアサイクルが乱れることがあるのです。

すると、髪が十分に成長できずに細い髪が増えたり、髪が抜けている期間が長くて、薄毛を感じやすくなったりするのです。
このように、髪の成長はヘアサイクルの変化が深く関わっています。

ヘアサイクル

①成長期(男性:3~5年 女性:4~6年)
髪が太く長く伸びる時期です。
髪に必要な栄養素や酸素は毛細血管から運ばれ、それを受け取った毛母細胞が細胞分裂して髪が成長します。

通常のヘアサイクルであれば、生えている髪の約90パーセントが成長期の段階です。

②退行期(約2~3週間)
髪の成長が止まる時期です。
毛母細胞の働きが弱くなり、髪が抜ける準備に入ります。

③休止期(約2~4カ月)
髪が抜ける時期です。毛母細胞の働きが完全にストップします。
髪が抜けて新しい髪が生える準備が始まります。

ヘアサイクルを乱す要因は複数あります

ここまで、細い髪や薄毛の症状は、頭皮脂だけではなくヘアサイクルの乱れによって起こることがわかりました。

では、なぜヘアサイクルが乱れるのでしょうか。

よく知られているのが、男性のAGA(男性型脱毛症)です。生え際や頭頂部の髪が薄くなり、早いと20代前半から症状があらわれます。
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが、ある酵素と結びつき髪の成長を抑制してヘアサイクルの成長期を短くします。

そして、髪が成長しないまま抜けて薄毛になるのです。

一方の女性にも、微量の男性ホルモンが存在するため、同様のメカニズムで薄毛が起こります。これをFAGA(女性男性型脱毛症)といいます。

女性は、加齢とともに女性ホルモンが低下し男性ホルモンが優位に働くことで症状があらわれるのです。

細い髪が増え、頭頂部を中心に髪が減るのが特徴です。AGAやFAGAは、専用のクリニックで治療することができます。気になる方は相談してみましょう。

他にも、加齢の影響から細胞分裂のスピードが落ち、ヘアサイクルの休止期が長くなることがあります。
すると、髪が生えない状態が続き薄毛を感じやすくなるのです。

さらに、「遺伝」「薬の副作用」「お酒の飲み過ぎ」「睡眠不足」「血行不良」など、ヘアサイクルを乱す要因はさまざまあり、複数の要因が重なり合って、細い髪や薄毛になると考えられています。

まずは、生活習慣を見直しましょう


・睡眠不足
・運動が嫌い
・タバコを吸う
・お酒を飲み過ぎている
・イライラしている
・ファストフードがやめられない

このなかに当てはまるものはありませんか。

当てはまる数が多いほど、生活習慣を見なおす必要があります。
細い髪や薄毛を予防するためにも、ヘアサイクルを整えるためにも、今から生活習慣の改善に努めましょう。

すぐできる! 生活改善の5つのポイント

①質の良い睡眠(睡眠中は成長ホルモンが活発になります)

②適度な運動(運動をすると頭皮の血行が良くなり、健康な髪が育ちやすくなります)

③節酒(お酒を飲みすぎると髪の成分である「システイン」を消費させます)

④ストレス解消(映画、音楽、運動など自分なりのストレス解消法をみつけましょう)

⑤バランスの良い食事(栄養の偏りをなくすために、さまざまな食材を使いまんべんなく食べましょう)

タバコをやめるには禁煙外来へ
タバコには血管を収縮させる働きがあり、血行不良を起こしやすくします。
すると、頭皮の血流も低下して、十分な栄養や酸素が行き渡らず、薄毛につながるのです。

さらに、タバコによって体内で発生する活性酸素は強い毒性を持っており、老化や病気を招くといわれています。
細い髪や薄毛を問題にする前にタバコをやめなければ、根本的な解決にはなりません。

どうしてもタバコがやめられないという場合は、「禁煙外来」という禁煙をサポートする診療をおこなう病院があります。
条件を満たせば、保険適用になるケースもあります。

ぜひ、ひとりで悩まず相談してみましょう。

血液検査を参考に、食事のバランスを整えましょう

生活習慣のなかでも、改善しやすく効果的なのが「食生活」です。それは、髪や頭皮をつくるメインの成分が、肉や魚、豆類などの「タンパク質」という栄養素だからです。

バランスの良い食事は美髪へとつながります。
しかし、自分にどんな栄養素が必要か、わからないという方も多いでしょう。

そのようなときは、健康診断の血液検査の結果を確認してください。また、医師に栄養相談するのもよいでしょう。

血液検査から食事を見直しましょう
中性脂肪&コレステロールが高い→ごはんやパンなどの糖質を控えめにしましょう。

中性脂肪の数値が低い→炭水化物を摂りましょう
赤血球&血色素(ヘモグロビン)&ヘマトクリットが低い→貧血の可能性があります。鉄分を積極的に摂りましょう。

AST(GOT)とALT(GPT)が低い→栄養バランスが悪い可能性があります。まんべんなく食べるように心掛けましょう

頭皮脂が気になる方におすすめの栄養素

①ビタミンB2(レバー、うなぎ、納豆、卵など)

②ビタミンB6(レバー、まぐろ、かつお、バナナなど)

これらの栄養素には、皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。
ただし、これらを過剰に摂取するのではなく、さまざまな食材を食べるようにしましょう。

(まとめ)細い髪が増え薄毛が気になります、頭皮脂があるからですか?

1. 頭皮脂は必要で、直接的な原因になることは少ないでしょう

頭皮脂は、頭皮や髪を強い紫外線から守ったり、水分の蒸発を防いだりする働きがあります。そのため、頭皮脂は必要な存在で、細い髪の直接的な原因になることは少ないといえます。

ただし、頭皮脂は多すぎても少なすぎても問題です。

2. 頭皮脂よりも洗いすぎによる頭皮ダメージに注意しましょう

頭皮脂は、外からの刺激をブロックするバリア機能があり、落としすぎるのは逆効果です。シャンプーをしすぎると、頭皮湿疹が起きたり頭皮を傷つけたり頭皮にダメージを与えます。

日頃から優しいシャンプーを心掛けましょう。

3. 細い髪や薄毛にはヘアサイクルの変化が関係しています

ヘアサイクルとは、「成長期」「退行期」「休止期」をあらわし、伸び始めてから抜け落ちるまでの一定の周期をいいます。
このヘアサイクルの成長期の期間が短くなると、髪が十分に成長できないまま細い髪が増え、薄毛へとつながります。

4. ヘアサイクルを乱す要因は複数あります

ヘアサイクルを乱す要因は複数ありますが、代表的なものが(F)AGAです。
男性ホルモンの影響からヘアサイクルの成長期を短くします。

その他の要因には、「遺伝」「薬の副作用」「お酒の飲み過ぎ」「睡眠不足」などがあります。

5. まずは、生活習慣を見直しましょう

細い髪や薄毛を予防するには、生活習慣の見直しが必要です。
「バランスの良い食事」「適度な運動」「質の良い睡眠」などを心掛けましょう。

とくに、タバコは血行不良や活性酸素など、髪にも体にも悪影響を及ぼします。禁煙しましょう。

6. 血液検査を参考に、食事のバランスを整えましょう

生活習慣のなかでも、改善しやすく効果的なのが「食事」です。自分にどんな栄養素が必要か、わからないという方は、血液検査を参考にするとよいでしょう。

また、頭皮脂が気になる方は、ビタミンB2やビタミンB6を積極的に摂ることがおすすめです。