お湯だけですべての汚れを落とすことはできません


湯シャンとは、シャンプー剤を使わずに文字通り「お湯だけで髪を洗う」洗髪方法です。

頭皮に必要な皮脂を残し、頭皮ダメージを防ぐといわれ、海外セレブや有名人が実践していることで話題になっています。

たしかにシャンプー剤の洗浄成分が強すぎると、頭皮に必要な皮脂や常在菌まで失ってしまい、頭皮が乾燥したりダメージを受けたりする可能性があるといいます。

でも気になるのは「洗浄成分を使わずに髪や頭皮の汚れはしっかり取れるのか」という点ではないでしょうか。

よく髪に付着した汚れはお湯だけで7~8割落ちるといいます。

ですが注意したいのは、お湯で落とせる汚れは汗やフケ、空気中のホコリといった水溶性の汚れだけという点です。

ワックスやスプレーといったスタイリング剤や皮脂などの油性の汚れはお湯だけで落とすことはできません。

こうした汚れが頭皮に残った結果、皮脂の毛根詰まりや頭皮汚れを助長し、場合によっては脂漏性皮膚炎になる可能性もあります。

湯シャンが本当に頭皮によいかどうかというと、実のところ医学的な根拠はありません。
頭皮の状態がよくないという人は、湯シャンは週に1度くらい取り入れる程度にするか、脱脂力の弱いアミノ酸性シャンプーに変える方がよいかもしれません。

頭皮の汚れにはさまざまなものがある

女性の頭皮にはさまざまな種類の汚れが付着しています。

体の内部からの汚れ

皮脂

古い角質・フケ

体の外部からの汚れ

料理の油や化粧品などの油脂類

ワックスやスプレーなどスタイリング剤

大気中の塵・ホコリ

バイ菌・ウィルス

花粉

煙草の煙

排気ガスなどの汚染物質

これらの汚れには水溶性のものもあれば、非水溶性のものもあります。

さらに個々の汚れ同士が分子的に結合していたり、電気的にひきつけられたり、髪にからんだり、毛髪内に浸透してしまったりと、さまざまな形で付着しています。

こうした汚れをすべてお湯だけで落とせるかというと、それはありえません。

上記の中で、湯シャンで落ちる汚れはあくまで、塵やホコリ、汗、くらいです。

特に油性のスタイリング剤などは、界面活性作用のある石鹸や洗顔料等で落とす必要があります。

お湯だけで皮脂汚れを落とすにはデメリットがある


湯シャンを推奨するサイトなどには「一定以上の温度のお湯ならシャンプーと同じくらいの効果がある」という書かれ方をしています。

たしかに食器の油汚れを洗剤なしでもある程度は落とせるように、シャンプー剤を使わず、お湯だけでも皮脂を落とす洗浄力はあります。

ただ油性の汚れをきちんと落とすためには、40度以上の熱いお湯である必要があります。

さらにいうなら同じ油性でも、皮脂は固形の「脂」ですから、融解温度は42度前後。

シャワーの温度としてはかなり高く、その温度で頭皮を洗えば頭皮に負担がかかってしまい、湯シャンを取り入れる意味がなくなってしまいます。

だからといってぬるい温度で湯シャンを続けても、皮脂が取りきれずに残ってしまい、それを栄養とするマラセチア菌などが増殖して脂漏性皮膚炎にかかる可能性があります。

まして落ちにくい皮脂を無理やり落とすために頭皮をゴシゴシとこすり洗いするようでは本末転倒になってしまうでしょう。

湯シャンは向く人と向かない人がいる

それでは湯シャンは頭皮の健康にまったく意味がないのか、というと、そうとも限りません。

湯シャンを実践している人の中には、続けていくうちに頭皮へのダメージが減ったという人もいます。

これは人によって頭皮の状態に違いがあるためです。

皮脂の少ない乾燥肌タイプの人や、年を取って皮脂分泌が減ってしまった人の場合、皮脂を落としすぎない湯シャンにはある程度のメリットがあるのです。

逆に皮脂分泌が過剰になりやすい、若い世代の場合は、皮脂が残りすぎてしまう可能性があります。

特に毎日、外出して汚れがつきやすく、日常的にスタイリング剤を使う人であれば、ある程度シャンプー剤を使う必要があるでしょう。

こうした人は湯シャンの回数を週に1~2度くらいに減らし、普段は、しっかりシャンプー剤で汚れを落とすようにしましょう。

あるいは完全に湯シャンにするのではなく、シャンプー前にお湯で髪を洗う「予洗い」として湯シャンをしてしっかりと汚れを落とし、シャンプー剤の量を減らす方が現実的です。

(まとめ)湯シャンでは落ちない頭皮の汚れがある?

1. お湯だけですべての汚れを落とすことはできません

シャンプー剤を使わずお湯だけで髪を洗う湯シャンは、適度な皮脂を残し、頭皮が健康になるといわれます。

しかしお湯で、ある程度の汚れは落とせても、ワックスなどのスタイリング剤や皮脂などの油性の汚れは残ってしまいます。

2. 頭皮の汚れにはさまざまなものがある

頭皮の汚れには

  • 皮脂、古い角質・フケ、汗などの体内からの汚れ
  • 化粧品、スタイリング剤、塵・ホコリ、花粉、排気ガスなど外からの汚れ

などがあります。

水溶性のもの、非水溶性のもの、汚れ同士で分子的につながっているなど多種多様で、すべてをお湯だけでは落とせません。

3. お湯だけで皮脂汚れを落とすにはデメリットがある

皮脂汚れはお湯だけで、ある程度、落とすことは可能です。

ただし油性の皮脂をお湯で落とすには、40度以上の湯温が必要です。

高温のシャワーで頭皮を洗うのは頭皮に負担がかかりますし、落ちにくいからと強くこすって頭皮を傷める可能性があります。

4. 湯シャンは向く人と向かない人がいる

湯シャンは乾燥肌の人や、皮脂分泌が減った高齢者の場合には効果が期待できます。

しかし皮脂量の多い若い世代や、スタイリング剤などを常時使う人の場合、汚れを落としきれずデメリットの方が多くなってしまうでしょう。

週に1度程度にするか「予洗い」として取り入れましょう。